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設計者のための免震入門(8) 免震層の設計
 
 
設計変位 δdsgn と免震クリアランス
 免震構造の設計では免震層設計変位と積層ゴムの設計(変形能力)は密接な関係にある。免震層の最大変形量 は包絡解析法や地震応答解析から求められ、これをもとに免震層の設計変位 がねじれ応答や2方向入力による影響などを加味して設定されることになる。
 図3に天然ゴム系積層ゴムの破断試験の結果を示す。ゴムのせん断弾性率は4.5kg/cm2程度である。試験時の面圧や試験体の形状には違いがあるが、復元力特性はほぼ同じ傾向を示している。天然ゴム系積層ゴムのせん断変形時の挙動は、せん断変形率 γ =250%まではほぼ線形範囲であり、これ以降ハードニング現象により剛性が徐々に大きくなる。最終的にはせん断変形率400%程度で破断に至る。従って、設計変位としては積層ゴムのせん断変形率で250%程度以下を目標とする事になる。この変形量であれば破断に至るまでには約1.5倍以上の余裕度がある。ハードニングは免震層の変位を抑制するには効果的であるが、免震層のベースシア係数を上昇させることになり、上部構造の応答加速度の観点からは不利である。
図3
図3
 水平クリアランスは、敷地の余裕やアイソレータの変形能力、設備配管などの可動距離などとの関連で決定される。免震層の可動範囲は水平クリアランスにより決定されることになり、水平クリアランスをどの様に設定するかは非常に重要である。水平クリアランス δHgap は設計変位 δdsgn より当然大きく設定することになる。ただし、どの程度大きく設定するかは、判断の分かれるところである。もし、設計変位より大きな地震動を受ける場合には、建物は衝突する可能性があり、積層ゴムの破断変位より大きなクリアランスを設定しておけば、積層ゴムの破断が起こることになる。いずれにしても想定している地震動と建物の性能に依存する。逆に、敷地の余裕の制限から設計変位が規定されることもあろう。この場合にも許される変位量の中で発揮できる免震性能を包絡解析法で確認し、建物の性能を設定していくことが重要である。
 鉛直クリアランス δVgap は、積層ゴムの圧縮変形+せん断変形時の鉛直沈み込み量+クリープ変形を考慮して決定する必要がある。





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