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設計者のための免震入門(7) ダンパーの役割と減衰特性
 
 
ダンパーへの要求性能
 ダンパーへの要求性能は、
 ・減衰能力
 ・変形能力
 ・方向性
 ・耐久性
 ・品質・ばらつき
などとなる。ダンパーは、地震により建物に投入されたエネルギーを最終的には全て吸収しなければならない。また、免震層の最大変形を所定の限度内に収めるために必要な減衰能力・変形能力が要求される。地震によるエネルギー入力はダンパーの繰返し変形により最終的に熱に変換される。従って、大変形下での繰返し加振に対する履歴ループの安定性と発熱による物性の変化については十分な検討が必要である。同時に、物性の経年変化に対しても検討を要する。履歴曲線の形状が上部構造の応答に与える影響については地震応答解析により検討されなければならない。ダンパーには水平2方向への変形追随能力が求められる。方向性を持つダンパーの場合には組み合わせることで方向性をなくすような処置が必要である。
 ダンパー製品の性能試験では、速度や変位レベルを実挙動にあわせた加振試験を実施することが望まれる。全数検査が基本であるが、製品によっては大変形での試験が難しいものもある。このような場合、製品検査で行う試験項目と内容がダンパーの性能をどの程度明らかにするかを認識することが肝要である。加えて適当な割合で抜き取った製品を用いて、限界性能試験などを実施し、所定の性能を有していることを確認することもダンパーの品質を保つ上で有効である。
 免震建物の設計では設計用入力地震動に対してダンパー量が最適化されることが多くなる。この様な場合、想定している地震動の大きさによっては、それより小さなレベルの地震動に対しては応答を増幅させることもある。逆の場合には強風などで免震層の変形が大きくなり、居住性を低下させることもありうる。従って、設計されたダンパー容量が強風時や中地震動時にどの様な応答性状を示すのかの検討も重要である。強風時にダンパーを塑性化させる場合には低振幅で長時間の繰返し変形を受けることが予想され、この様な状況下でのダンパーのエネルギー吸収性能などについて確認が必要であろう。暴風に対する免震層の設計では、風荷重に対する免震層の復元力特性の設定が肝要である。風荷重に対する変位応答は、地震の場合のように原点を中心とした正側・負側への変形とはならず一方向へ準静的に変形した状態からの応答となる。従って、風荷重に対して免震層・免震部材の復元力特性が地震応答評価用と同じとすることができるか否かは重要である。低振幅、低速度での復元力特性(特に降伏耐力)の評価が欠かせない。上部構造が軽量な場合、風荷重は地震荷重を上回ることもある。このような場合には風対策としてのストッパーなどを別途設置するなどの対策を検討することも必要となろう。





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