部材認定基準の曖昧さ |
(1) 詳細な仕様規定と設計の多様化 |
認定基準が現在まで開発され使用している製品を念頭においていた経緯もあり、詳細な仕様の規定が盛り込まれている。たとえば、積層ゴムの層厚や層数、中間鋼板の厚さまで規定されている。設計では、剛性や強度、変形性能といった性能を規定し、それら詳細の記述を避け、製造者・製品の選択の多様化を行う場合があるが、設計性能に適用する製品の細部を変更したり、設計することができないようになっている。
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(2) 新製品の開発と適用 |
認定対象部材は、充分な製造実績や統計的データが必要とされ、新規製品の開発や適用が経済的にも難しくなっている。 |
(3) 解析プログラムと開発の阻害 |
設計においては、各種構造解析プログラムに免震材料の特性値が組み込まれていることは都合が良いわけであるが、逆にそれが技術開発を阻害する要因になることを懸念している。 |
(4) 圧縮限界強度 |
図1には告示平12建告第2009号で規定された免震支承の限界性能と設計使用範囲の規定方法を示している。この規定は、せん断ひずみを考慮した圧縮限界強度が基本となって設定されている。
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図1:免震支承の限界性能と設計使用範囲
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鉛直基準強度は告示2010号で規定される圧縮限界強度に基づいて設定される。圧縮限界強度とは、アイソレータが座屈や破断をすることなく安全に支持できる圧縮応力度と規定され、 |
鉛直基準強度 FC 圧縮限界強度×0.9 |
となっている。告示には水平基準変形 δU は鉛直基準強度 FC の1/3に相当する荷重を支持した状態での水平限界変形と規定されている。 |
圧縮限界強度と限界変形を明らかにすることが、この規定を有意義なものとする。しかし、免震部材の圧縮限界状態は破断なのか座屈なのか? どういう状態を指しているのか明快な規定がされていない。また試験方法も明確にはされていない。図1には設計で用いることができる範囲も模式的に示されている。この領域内の面圧とせん断変形の組み合わせで性能が変わらないことは考えにくい。では、どのような性能の変化があり、それを設計にどうやって反映させるのかを考えねばならない。 |