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設計者のための免震入門(4) 積層ゴムの構造と特徴
 
 
免震部材の認定制度
 免震部材(アイソレータ、ダンパー)は告示2010号により指定建築材料に追加された。本基準では免震部材の満たすべき必要な特性を定めている。全ての免震部材が指定建築材料としての認定を受けなければならない。
 審査内容は、主に申請部材の機構、形状、寸法、材料などの仕様と基準、および表1で示した耐火性能を除く基本性能についてその試験データとその統計的規定値に関するものである。その他、製造組織、製造管理、品質管理、製品保証などが審査対象とされる。
 免震部材の審査は構造設計とは関係のない委員会で行われ、申請者(メーカー)が部材やシステムの特性を一般化することが求められる。そのため、申請にあたっては膨大な労力を必要とするので、新しい免震部材の開発意欲をそいでいる。現状の免震部材とその性能に安住することは免震構造の発展にとってマイナスになるばかりか、一度認定を受けてしまえば、設計者もメーカーも性能が全て明らかになったものと思いこんでしまう。このような弊害を避けるためには、新しい免震部材の認定を緩める、さらには従来のように構造設計と一緒に免震部材の認定も受けることができるような環境整備も不可欠である。


表1:免震部材の種類と基本性能および物性項目
免震部材 基本性能 物性項目
天然ゴム系積層ゴム支承
高減衰積層ゴム支承
鉛プラグ入積層ゴム支承
荷重支持性能
水平変形性能
復元性能減衰性能
ばらつき
耐久性能
耐火性能
鉛直剛性、圧縮限界強度、引張限界強度限界ひずみ、限界変形、荷重履歴1次剛性、2次剛性、水平等価剛性切片荷重、降伏荷重、等価粘性減衰定数製造誤差、温度変化率、 面圧依存率、ひずみ依存率経年変化率、クリープひずみ率、防錆仕様   耐火時間、表面・内部温度 
弾性すべり系支承
剛すべり系支承
転がり系支承
荷重支持性能
水平変形性能
復元性能
減衰性能
ばらつき
耐久性能
耐火性能
鉛直剛性、圧縮限界強度、引張限界強度限界変形、荷重履歴1次剛性、摩擦係数切片荷重、等価粘性減衰定数製造誤差、温度変化率、荷重依存率、速度依存率経年変化率、クリープひずみ率、防錆仕様耐火時間、表面・内部温度 
オイル系ダンパー
粘性ダンパー
粘弾性ダンパー
摩擦ダンパー
弾塑性ダンパー
水平変形性能
復元性能
減衰性能
ばらつき
耐久性能
限界変形、荷重履歴1次剛性、2次剛性降伏荷重、等価粘性減衰定数製造誤差、温度変化率、速度依存率、周期依存率経年変化率


 本来、免震部材は構造部材であり、「材料」ではない。「材料」として規定されたため、告示2009号では許容応力度といったおかしな規定が生まれることになる。「材料」として規定するのであれば免震部材を構成する材料の特性値をまず規定すべきある。例えば、積層ゴムはゴム材料と鋼板により構成された部材であり、ゴム材料の特性(破断までの応力度−ひずみ度の関係など)が規定されるべきではないか。部材の性能・仕様を決めることは本来設計の一部である。現状の免震部材の認定は、例えば鉄筋コンクリート部材の寸法、コンクリートや鉄筋の組み合わせごとに性能評価をして認定をとっているようなものである。





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