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我が国の積層ゴムの開発と変遷 免震構造レポート Vol.4
 
建物の高層化にともない積層ゴムに引張を許容しない設計は難しくなってきた。そこで、免震構造協会の技術委員会を中心として、各メーカーの協力を得て積層ゴムの引張特性試験を1998年に実施した。その結果、積層ゴムの引張変形能力が高いこと、大きな引張ひずみを受けた後でも鉛直・水平剛性、さらには水平限界能力(破断変形)の低下もみられなかった。この結果、スケール効果、耐久性に対する疑問は残されたままであるが、ある程度の引張変形(引張力)を許容する設計が可能となった。


積層ゴムの性能については未だ解明されていない部分も多い。例えば、引張変形は耐久性上どこまで許容されるか、水平破断限界・座屈限界の定量化、中間鋼板の設計が性能に与える影響など。加えて、積層ゴムの性能の向上を目指して研究開発を進めていくことが大切であり、それを制度的に妨げない法制度と運用が求められている。

2000年には免震に関する告示が制定され(評定の廃止)、免震部材は認定材料となった。本来ならゴム材料だけを規定し、中間鋼板とゴム層の組み合わせ(部材設計)は設計者に任せるべきである。それこそが、免震部材という呼称に沿ったやり方であると考える。積層ゴムも認定部材となり幅広い利用が見込める反面、新しい部材の利用が難しくなるなどの弊害もでている。免震部材の特性が完全に解明されていない現状で特性値を一元化することの問題点が改善されることが必要である。


参考文献
1) J.M.Kelly, "Aseismic Base Isolation : Review and Bibliography", Soil Dynamics and Earthquake Engineering, Vol.5, No.3, 1986
2) I.G.Buckle and R.L.Mayes, "Seismic Isolation : History, Application, and Performance - A World View", Earthquake Spectra, Vol.6, No.2, 1990
3) F.Naeim and J.M.Kelly, "Design of Seismic Isolated Structures From Theory to Practice", John Wiley & Sons, 1999





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