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免震建築のすすめ 免震構造レポート Vol.1
 
 地震から建物を守る考え方に「耐震」があります。
耐震構造は、簡単に言えば建物を頑丈に建てることで建物の崩壊を防ぐことを目的とします。建物を頑丈に建てるといっても、コストの問題や地震の発生確率などを考えれば、自ずと限界があります。そこで、中地震程度では建物に損傷は生じさせないが、大地震が発生した場合には建物には多少の損傷(被害)を許容するという設計の考えが一般的です。建物をある程度壊すことによって、地震のエネルギーを吸収することで崩壊から免れる、すなわち人命を守るという思想です。当然、財産の保全などは保証されていません。耐震設計の基本は、できるだけ建物全体で均等に地震のエネルギーを吸収する(均等に損傷を受ける)にはどうすれば良いかを追求しているのです。ただ、計算どおりに被害が分散すれば良いですが、設計で考えていなかった要因で一カ所に被害が集中し、その層(階)が崩壊するという事態もあり得ます。


  一方、「免震」という全く発想の異なる考えがあります。
耐震構造は建物と地盤を固定していますが、免震構造は空間を浮かせて守る発想です。建物と地盤を「絶縁」することで、地面の揺れを建物に直接伝達させません。その結果、建物の揺れ方はゆっくりになり、構造骨組だけでなく家具や備品類の転倒・破損の心配もありません。現在の技術では建物を完全に浮かすことまではできませんが、できるだけそれに近づくよう努力を重ねています。


 建物と地盤を絶縁するために、建物の基礎部分にアイソレータとダンパーを設置します。アイソレータは建物を支え、地震時には建物を水平方向にゆっくり移動させます。現在ではアイソレータとして最も信頼性が高く、経済的な「積層ゴム」が用いられています。ダンパーは車でいえばブレーキの役目です。地震の揺れを素早く小さくしたり、強風時に建物が揺れるのを防ぎます。すなわち、ダンパーは地震のエネルギーを吸収します。耐震構造が構造骨組全体で地震のエネルギーを吸収しているのに対して、免震構造は免震層のダンパーでほとんど全ての地震エネルギーを吸収するわけです。その結果、構造骨組に作用する地震力も小さく、損傷も発生しないわけです。





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